ここ数年くらいの世の中のお話ぶりだと、どうも6月入ったくらい、早いとこだと5月後半くらいから、今年の前半は~、上半期は~、みたいなお話をしとることが散見されるんですけども、俺からすれば、やっぱり6月終わったくらいでやっとその年も半分過ぎたんやな~、って感じるところで。
まあそれに合わせて、とりあえずここまで読んでた本についてまとめとこかなあ、ってとこですね。
あとは、ここせっかく作ったのに、全く雑文や奇文をしたためることなく、ほったらかしにしとくんやったらなあ、って、突然思ったから。
そんなわけで、今年、6月末くらいまでで読んだ本で気になった物を取りあえずリスト化した物でも。
順番はほぼ無作為に思いついた順で。
あとリンクとかは貼らないので、気になったら自分でググって検索してくださいね。
・竜と祭礼/筑紫一明/(GA文庫)
今年はライトノベルで新しく始まったシリーズで面白いな、って思う物と結構多く出会っている。
これは竜の心臓を使った魔法の杖を、書物を調べたり、実地で調査する事で治す手段を探すお話。
地道に調べていったことが、思いがけぬ出会いを生んだり、意外性に富んだ、とても大きな結論に至ったりと、知ることで得られるスペクタクルが素敵な一冊。
続編も出ているけど、良くも悪くも今のライトノベルっぽくない(むしろ創元のファンタジーとかで出てそうな感じ)ので、どこまでこの感じで続いてくれるのかな、って、楽しみになるシリーズですね。
・超高度かわいい諜報戦/方波見咲/(MF文庫J)
今のライトノベルとかそれを内包する中間文学は、おおまかに見ればラブコメディ、と捉えられるジャンルが長きにわたって流行っていると思うんですけど、その中でも、これはかなりの変化球。
何せスパイアクション(それも割と本格的)とラブコメの融合、とかいう、ちょっと想像のつかない組み合わせになっているんだけども、これはそれらの温度差を本当にくだらない笑いに変えていて、読んでいて思わず「ふふっ」となってしまう出来になっている。
一巻だけで終わる作りになっていないし、恋愛模様もこれからどうなっていくのか読めないお話になっているので、これもこれから楽しみなシリーズ。
・むすぶと本。シリーズ/野村美月/(ファミ通文庫、KADOKAWAノベル他)
多分4~5年ぶりくらいの野村美月先生。
これは本のお話が聞こえる、会話が出来る少年のお話。題材が題材なだけに、どこか往年の「文学少女」を彷彿とさせる作りになっていて、本当に読んでいて安心感や安定感が凄い。それだけでなく、その人一人一人にとっての大事なお話や一冊に対して真摯に描かれていて、やはり凄い作家なんだなあ、と、思い知らされました。7月にも新刊が出るそうで、それもとても楽しみになります。
この人の書くSF短編は、どれも本当にいい意味で肩の力が抜けていて素敵なんですけど、それがいくつも集まっていたら、そりゃ面白くないわけないよね、っていう。
特に異星文明の宇宙人が次々と行列を作るラーメン屋のお話、「宇宙ラーメン重油味」が個人的なお気に入り。
・三体2「黒暗森林」/劉慈欣/(早川書房)
昨年出た傑作「三体」の続編。得てしてとんでもないお話の続編はスケールダウンしてしまうか、お話が大きくなりすぎて漫然となってしまうか、のどちらかになりがちなんですけど、これに関してはそんな心配は無用だった。どこから切り取っても、SFエンタテインメントとして、完璧な出来。あんなオチで終わって、来年春の完結編までどう待てばいいのか、と言うところ以外は、本当に完璧。
・タイタン/野崎まど/(講談社)
基本的にはここ数年の野崎まどさんは、特にメディア展開された作品は「ちょっとなあ…」という感じの作品、具体的に言えば、大きく広げきった風呂敷が畳みきれてない、使うつもりもない伏線を作りすぎ、露悪的な部分が強すぎる、という感覚だったんですけど、今作は巨大な人格、という個人に収束していて、そこに落ち着けたのは悪くなかったかな?って。やってることは相変わらず最早ギャグ染みてもいる、規模の大きな災害(しかも人災)みたいなお話ではあるんですけど。
35にもなったおっさんが読むジャンルの漫画じゃないよな、とは思いつつも。
偶々乗った電車の広告で気になるなあ、って思って読んだら、思った以上に面白い内容で得したなあ、ってところ。こういう初々しいお話もたまに読むといいものです。
・スローループ/うちのまいこ/(KRコミックス)
こんなとこまでリンクで飛んでくる俺のフォロワーとかウォッチャーだったら、まあ知ってるよね、ってところではあるんですけども。
趣味とリンクさせてそれを面白さにさせる漫画がこのところきらら系で面白くなる漫画が多くて、この二つはその中でも抜けているかな、と。
特にそこから繋がる人間模様で、抜け落ちていた物を少しずつ埋めていく物語の構成が、とても素晴らしい物だと思います。
このご時世だから読んでほしいというか、知ってほしい物語ですね。
チフスのメアリー、と聞いてピンと来る人なら、彼女がどういう人生を選び、生きたのか、が克明に淡々と描かれていて、楽しく読めるんじゃないかと。
これもある意味このご時世だからこそ、読んでほしいと言うか知ってほしい一冊。
ちょっと権力寄り過ぎないか?とも思うのですけど、マスメディアの中にいる著者だからこそ、伝えたいこともあるのかな?というお話。
アポロ計画とスプートニク計画の中心となった二人の科学者の系譜を追う一冊の物語。
二人ともナチスドイツ関係の科学者で、大戦を生き延びて、一人の技術者として高みを目指して行ったのが、とても読んでいて面白い。
他にも思いつく本はいっぱいあるんですけど、これ以上長々と書くのは如何かとも思うので、この辺で。
上半期もこれくらい面白い本に出会えるといいな、って。
あとついでに言うと、新刊の本を手に入れるのに必死にならなきゃいけない情勢が変化してくれればいいな、とも。